大きな町と、小さな女の子
昔々、まだ人間たちが今と全くと違う言葉を喋っていたころ、心温かい国々のなかに、大きくて、立派な町が複数あった。そこでは王様と皇帝の宮殿がそびえ立っていて、広い道もあるけど、狭いくて入り組んだ路地もあった。金ぴかで、大理石でできたイエス様の彫刻があるとてもきれいな神殿もあった。さらに、あらゆる紳士の国からやってきた商品が売り出されている、ごちゃごちゃした市場があったり、人々が集まって、ニュースを伝えあったり、世間話をしたりするような、広くてきれいな広場もあった。そして、とりわけお伝えしたいのはこの町にある複数の劇場である。
この劇場は、いまでいうところのサーカスに外見がよく似ているけれど、今と違って、全体が石垣でできていた。観客席の座席は巨大な漏斗のようにお互いに階段状に横たわっていた。上からみたら、その建築物の造形の多くは円形だったり、もっとまんまるとしていたり、もしくは半円状に建築されたものだったりした。人々はこれらの建物を総じてアンフィシアターとよんでいた(アンフィシアター=野外円形だつも げふんげふん 野外円形劇場)
その円形劇場は、サッカー場ほどに大きいのもあれば2,300人ぐらいの観客しか収容できないものもあった。
記念碑や銅像で飾られたすばらしいものがある一方で、飾り気のなくて、イケてないものもあった。これら劇場には屋根というものがないく、すべてが広々としたお天道様の下で開かれていた。そんなわけで、立派な劇場では、強い直射日光や突然の雨から観客を守るための金ぴかの絨毯が座席の上に広げられていた。、一方でイケてない劇場はというと、金ぴかの絨毯のかわりにイグサや藁でできたマットが使われていた。そこにはこう書いてあった。<等劇場では、皆さんが奮発できたのと同じように、絨毯を奮発して用意しました。みなさん熱狂的なお客さんで、それぞれ一枚ずつ望まれていたので。>?
もし舞台上で、感動的、もしくは喜劇的な出来事に観客が聞きいったら、それらは客たちのところにあるので、あたかも????そして、彼らはこの別の真実を盗み聞きするのを好んだ。???
それから1000年の時が流れた。当時の大きな町は滅び去り、神殿や宮殿も取り壊された。風や雨、寒さは熱が、石垣を磨き落として、穴をあけた。そして大きな劇場ですら、まさしく廃墟となった。ボロボロになって砕けてしまった壁で、今はセミが、彼らの単調なメロディーを奏でているだけで、それは、世界が寝息を立てているかのようにも聞こえた・
しかし、今日まで残っている町もあった。もちろんそこに住む人々の生活は」変わってしまったけど。人々は道路で車を走らせているし、電話だって、電気だってもっていた。でも、そんな新しい街並みの中に、いくつか彫刻の施された柱や、扉や、壁の一部やもしくは劇場が、当時の姿のままがのこっていた。そして、そんな街からモモの物語が始まった。
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